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批評・コラム

手つなぎ写真の公式説明から32日 infini、再編できず9月29日解散へ

運営代表とメンバーの手つなぎ写真を公式が認めてから32日。infiniは新体制の準備を進めながらも再編できず、9月29日で解散すると発表しました。

infiniの市川未帆と本田理乃

2026年9月18日追記 infiniは、9月29日の定期ライブをもって解散すると発表した。8月17日の公式説明から32日後、再編準備を進めながらも活動継続を断念した。

01

公式が認めたのは「同行」と「手つなぎ」

福岡を拠点に活動するアイドルグループ・infiniをめぐり、所属事務所の代表とメンバーの本田理乃が手をつないで撮影した写真がSNS上で拡散された。

infini運営は8月17日、公式Xで「ご報告とお詫び」を掲載した 。発表では、代表と本田が長崎県の壱岐を訪れたこと、現地で手をつないだ状態の写真を撮影したことを認めた。一方で、両者の交際関係は明確に否定している。

infini運営によるご報告とお詫び

運営によれば、壱岐への同行は事務所が行う飲食事業の現地視察が目的で、本田は「社会経験の一環」として同行した。業務目的だったとしても、所属メンバーを管理する代表が手をつないで撮影した行動は不適切だったと認めている。

再発防止策として、代表と所属メンバーが二人だけで業務外の外出をしないこと、身体的接触を含む誤解を招く行動を避けること、関わり方の明確なルールを設けることを示した。本田への活動休止などの処分は行わず、責任は代表側にあると説明している。

02

「交際していない」だけでは解消されない問題

運営と本田が交際を否定している以上、拡散された写真だけを根拠に、二人が交際していたと断定することはできない。

ただし、交際関係がなかったとしても、運営上の問題がすべて消えるわけではない。事務所代表は、活動方針、出演機会、契約、スケジュールなどへ影響を持つ立場にあり、所属メンバーと完全に対等ではない。

  • 特定のメンバーだけが優遇されていないか
  • 仕事と私的行動の境界はどこにあるのか
  • ほかのメンバーが安心して活動できる環境か

実際に特別扱いがあったかどうかとは別に、特定のメンバーだけが代表と行動を共にし、私的な関係にも見える写真を残せば、こうした疑問は生まれる。問題はファンが誤解したことだけでなく、誤解を招きやすい関係を運営側が自ら作ったことにある。

03

「業務だった」という説明にも境界が残る

業務目的での同行だったことと、同行方法や現地での接し方が適切だったことは同じではない。

公式発表からは、なぜ本田だけが同行したのか、ほかのスタッフは参加していなかったのか、「社会経験」とアイドル活動がどう関係していたのかまでは分からない。企業にすべての行程を公開する義務はないが、写真が拡散され、別のメンバーの活動にも影響が及んだ以上、「業務だった」という説明だけで組織内の公平性まで示すことは難しい。

今後必要なのは、外出を業務内・業務外と呼び分けるだけのルールではない。同行者、承認方法、記録、相談先まで含め、権限を持つ人物とメンバーの距離をどう管理するかという運用である。

04

本田理乃は処分されず、代表が責任を負うとした

本田も同日、自身のXで交際関係を否定し、誤解を招く行動を取ったこと、アイドルとしての自覚と配慮が足りなかったことを謝罪した。

管理する立場にある代表と所属メンバーの間で問題が起きた際、メンバーだけを活動休止や契約解除とするのではなく、代表側に責任があるとした判断自体は不自然ではない。

一方で、責任を認めた後に問われるのは、謝罪文の強さではなく運営体制が実際にどう変わるかだ。代表が同じ権限を持ち続ける場合、内部確認の方法や、再発防止策の実施状況を誰が確認するのかまで示されなければ、所属メンバーから見た活動環境が変わったとは判断しにくい。

05

市川未帆は説明を信じながら卒業を決めた

問題の焦点を大きく変えたのが、市川未帆の卒業発表だった。

市川未帆によるinfini卒業発表

市川は8月18日、自身のXで卒業を発表した 。本田と代表から直接説明を受け、SNS上で疑われているような事実はないという言葉を信じたいとした一方、今回の状況を受け、今後も「この場所」でアイドルとして活動したいと思えなくなったと説明した。

市川は交際があったと告発したわけではなく、二人の説明を否定したわけでもない。それでも、8月31日付でinfiniを卒業すると決めた。

二人の説明を信じることと、現在の運営環境で活動を続けられることは別の問題だった。今回の発表が重いのは、写真の当事者ではないメンバーが、その影響を受けてグループを離れる決断をした点にある。

06

直前にも2人が契約違反で脱退していた

infiniでは7月28日、宇佐美彩と小森ゆなが「重大な契約違反行為」を理由に脱退し、運営会社とのマネジメント契約も解除されていた。

本田も今回のコメントで、少し前に2人が契約違反でグループを離れ、ファンの信頼を損なう出来事があったことに触れている。残ったメンバーとして信頼を取り戻さなければならないと考えていた中で、自身も信頼を失う行動を取ってしまったと振り返った。

2人の契約解除から約3週間後に、今度は運営代表と残ったメンバーをめぐる問題が起き、さらにもう一人が卒業を決めた。市川は卒業理由を発表以上には説明していないため、複数の出来事が判断へどう影響したかを外部が断定することはできない。

07

問われているのは恋愛禁止ではなく、運営の統治能力

今回の問題を「恋愛スキャンダル」とだけ捉えると、公式に確認された事実と、運営組織の課題が見えにくくなる。

公正取引委員会と内閣官房が公表した芸能分野の取引適正化指針 は、今回のようなメンバーとの接触を直接扱うものではない。ただし、芸能事務所と実演家の間には立場の差があり、事務所側に説明・協議などの高い責任を求めるという前提は共通する。

infiniに必要なのは、謝罪を繰り返すことだけではない。代表とメンバーの同行ルール、複数のスタッフによる確認、利益相反の管理、代表を通さず相談できる窓口、問題発生時の事実確認手順を整え、実際に運用されていることを示す必要がある。

08

去ったのは、写真に写っていなかったメンバーだった

運営は交際を否定し、本田は活動を続ける。その方針だけを見れば、infiniは問題を乗り越えて活動を継続しようとしていた。

しかし翌日、市川未帆は卒業を発表した。最も重く受け止めるべきなのは、疑惑を外部が事実認定することではなく、運営の行動によって、当事者ではないメンバーが「ここでは続けられない」と判断した結果である。

写真の中の二人が何を考えていたのかは外部には分からない。一方で、その写真と運営対応がグループにもたらした結果は、すでに表れている。

infiniの問題は、手をつないだ一瞬だけではない。運営とメンバーの境界が曖昧になったとき、その代償を誰が負うのかという問題である。

09

9月29日の定期ライブで解散

infini運営は9月18日、9月29日の定期ライブ「i-LIVE story 第6話」をもってグループを解散すると発表した。発表では、活動継続の可能性を探り、新体制の準備も進めていたものの、現在の形での継続は困難と判断したとしている。

運営は、相次ぐ体制変更と一連の出来事によって心配と迷惑をかけたことを謝罪し、「ファンが安心して応援できる環境を作れなかった」と自ら記した。交際疑惑を否定した8月17日の説明から32日後、再発防止策を実行して信頼を回復するより先に、グループそのものを終える結論へ進んだ。

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7月28日から63日で契約解除・卒業・解散

この2カ月の動きを並べると、解散が単発の判断ではなく、短期間に重なった体制崩壊の終点だったことが分かる。

日付出来事
7月28日宇佐美彩、小森ゆなが重大な契約違反を理由に脱退・契約解除
8月17日運営代表と本田理乃の同行・手つなぎ写真を公式が認め、交際は否定
8月18日市川未帆が卒業を発表
8月31日市川未帆が卒業
9月18日infiniが解散を発表
9月29日最終ライブ予定

最初の契約解除から最終ライブまでは63日しかない。夏に相次いだ契約違反発表を整理した記事でも触れた通り、「重大な契約違反」という短い説明だけでは、残るメンバーをどう支え、再発をどう防ぐのかは見えにくい。infiniでは、その空白を埋める前に運営側の問題が起き、再編まで止まった。

11

再発防止策より先にグループが終わる

8月17日の運営発表は、代表とメンバーが二人だけで業務外の外出をしないことや、誤解を招く身体的接触を避けることなどを再発防止策として掲げていた。しかし、制度は掲げただけでは機能しない。第三者が実施を確認する仕組み、残るメンバーへのケア、ファンへ継続的に説明する日程まで伴って初めて、信頼回復策になる。

今回の解散発表は、新体制の準備を進めた事実には触れたが、なぜ継続困難になったのか、再発防止策がどこまで実行されたのかは説明していない。現体制終了後の再始動方針を明示したLOTUS MARRYや、終了まで72日を確保して予定を示したSPATIO ERPHYと比べても、infiniは発表から最終ライブまで11日と短い。

手つなぎ写真の問題は、写真一枚では終わらなかった。運営が自ら作った境界の曖昧さによってメンバーが離れ、立て直しを完了できないまま解散へ進んだ。説明責任を問われる対象は、去ったメンバーではなく、再発防止と再編を担うはずだった運営である。

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