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批評・コラム

=LOVEが立つ韓国の「人気歌謡」とは何か1991年の初放送から第1300回を越えた歴史

=LOVEが初出演する韓国SBS『人気歌謡』。1991年の初放送、1998年の再始動、順位制度の変化、第1300回まで、番組の歴史をたどる。

韓国・金浦空港に到着した=LOVE

この記事の要点

  • SBS「人気歌謡」は1991年に始まり、1998年の再始動を経て2026年3月に第1300回へ到達した。
  • 順位制度や動画配信の形を変えながら、韓国の音楽産業とアイドル文化を記録してきた。
  • =LOVEの初出演は、35年にわたる番組史へ加わる新しい一回になる。

目次

  1. 01 「人気歌謡」は年末特番ではなく、毎週続く音楽番組
  2. 02 始まりはSBS開局6日後――1991年12月15日
  3. 03 初期シリーズは90回で終了した
  4. 04 1998年、「人気歌謡」が戻ってきた
  5. 05 2000年代の象徴「Take 7」とミュティズンソング
  6. 06 2012年、番組は一度「順位」を捨てた
  7. 07 500回、800回、1000回、1300回
  8. 08 テレビで一度流れる番組から、世界へ残る映像へ
  9. 09 =LOVEは番組史の新しい一行に立つ

2026年8月23日、=LOVEは韓国SBSの音楽番組「인기가요(人気歌謡)」へ初出演し、「恋、はじめました。(Korean ver.)」を披露する。

この出演を、単に「韓国の歌番組へ出る」とだけ受け取ると、その舞台が持つ重みの大半を見落としてしまう。

「人気歌謡」は、SBSテレビが開局してからわずか6日後の1991年12月15日に始まった。初期シリーズを経て、1998年2月1日に現在へ続くシリーズが再始動。2026年3月には第1300回へ到達し、=LOVEが出演する8月23日の放送は第1321回にあたる。

そこは、韓国の音楽産業がテレビ中心だった時代から、アイドル産業の拡大、インターネット投票、動画配信、個人カメラ、そしてK-POPの世界化までを見続けてきた番組である。

=LOVEが立つのは、そうした35年分の時間が積み重なったステージだ。

01 「人気歌謡」は年末特番ではなく、毎週続く音楽番組

まず整理しておきたいのは、「人気歌謡」と「SBS歌謡大典」は別の番組だということだ。

「SBS歌謡大典」は、年末などに大型会場と豪華出演者で組まれる特別番組。一方、「人気歌謡」は原則として毎週放送されるレギュラーの音楽ランキング番組である。

韓国語の番組名「인기가요」は、そのまま読めば「人気の歌」「人気歌謡」という非常に素朴な名前だ。SBS自身も現在の番組を、人気歌手の最新音楽を聴くことができる歌謡ランキング番組と説明している。

しかし、実際の役割はランキング発表だけではない。

新曲を初めてテレビで見せる「カムバックステージ」、新人が名前を広めるデビューステージ、衣装や振付、カメラワークまで含めて一曲の印象を決定する放送舞台。そして番組終了後には、公式ステージ映像やメンバー別の映像がインターネットへ残る。

現在の「人気歌謡」は、韓国国内の日曜テレビ番組であると同時に、世界の視聴者が新しいアーティストと出会う映像の入口でもある。

02 始まりはSBS開局6日後――1991年12月15日

SBSテレビが正式に開局したのは1991年12月9日。「人気歌謡」の第1回は、その6日後となる12月15日に放送された。

SBS公式アーカイブに残る第1回には、キム・ワンソン、イ・スンファン、カン・スジ、イ・ボムハクら、当時の韓国歌謡界を代表する歌手たちの名前が並ぶ。番組内容も、現在のようにステージ映像を連続して見せるだけではなかった。

「オープンカメラ」「私もスター」「即興コンサート」といった企画があり、歌手の歌唱、トーク、視聴者参加型の要素を混ぜた総合的な音楽ショーとして作られていた。

そして、番組史上最初の1位曲は、キム・ヒョンシクの「내 사랑 내 곁에(私の愛、私のそばに)」だった。

この事実は象徴的だ。

2020年代の「人気歌謡」と聞けば、精密なダンス、巨大なLED、短いカットを重ねるカメラワークを想像する人が多い。しかし、その出発点にあったのは、1991年の韓国で広く愛された一曲を、週末のテレビが「今週の歌」として記録する仕組みだった。

「人気歌謡」は、最初からK-POPの世界展開を目的に始まった番組ではない。韓国の大衆音楽を、その時代のテレビがどう見せるかを試す場所として始まったのである。

03 初期シリーズは90回で終了した

1991年に始まった初期シリーズは、1993年10月17日の第90回まで続いた。

ここで重要なのは、現在まで同じシリーズが一度も途切れずに続いているわけではないという点だ。

「人気歌謡」という番組名はいったんテレビ画面から消え、SBSの音楽番組枠は別タイトルへ移った。その後、韓国の大衆音楽を取り巻く環境が大きく変わった1998年に、番組名とランキング番組としての役割が戻ってくる。

したがって「人気歌謡」の歴史には、二つの始まりがある。

  • 第1の始まり:1991年12月15日――SBS開局直後に始まった初期シリーズ
  • 第2の始まり:1998年2月1日――現在へ続くシリーズの再始動

この二段階を分けて見ると、番組の回数表示も理解しやすい。現在の第1000回、第1300回という節目は、主に1998年から続くシリーズの積み重ねである。

SBS人気歌謡の歴史タイムライン

04 1998年、「人気歌謡」が戻ってきた

現在へ続く「人気歌謡」は、1998年2月1日に始まった。

2015年の第800回を前にSBSが公開した番組史によると、1998年の第1回で1位を獲得したのは、Turboの「회상(回想)」だった。第800回特集では、Turboがこの縁によって再び番組の舞台へ招かれている。

1998年という年は、現在の韓国アイドル文化を考えるうえでも重要な時期だった。

第1世代アイドルの活動が広がり、音楽番組は、ただ売れている歌を紹介するだけの場から、新曲、振付、衣装、メンバー構成、ファンの応援までを一つの物語として見せる場へ変わっていった。

SBSの第800回記事が、同じ1998年にデビューしたSHINHWAと「人気歌謡」の関係を特別に取り上げているのも、その変化をよく表している。

番組とアイドルは、同じ時間を並走するようになった。

あるグループにとってのデビュー回、初めて1位候補になった回、初の1位、活動を終える最終週。それらが毎週の放送に刻まれ、後から振り返ると、そのままグループの歴史になっている。

「人気歌謡」の長さとは、番組だけの長さではない。そこへ出演した無数の歌手とグループの活動史が重なった長さでもある。

05 2000年代の象徴「Take 7」とミュティズンソング

2000年代の「人気歌謡」を象徴したのが、「Take 7」と「ミュティズンソング」だった。

一般的な1位から10位までのカウントダウンを前面に出す代わりに、その週を代表する7組・7曲を「Take 7」として示し、その中から最も支持された一曲へ「ミュティズンソング」を贈る方式である。

「ミュティズン」は、音楽を意味する「Music」と、当時インターネット利用者を表す言葉として急速に広まっていた「Netizen」を組み合わせた呼び名だった。

今見ると少し時代を感じさせる名称だが、そこには重要な変化が表れている。

テレビ局が一方的に順位を決めるのではなく、ネット利用者の反応を番組の言葉へ取り込もうとしたのである。テレビとインターネットがまだ別々のメディアとして意識されていた時代に、「人気歌謡」は両者を結びつけようとしていた。

また、「1位」という一般名称ではなく、番組独自の賞名を作ったことで、「ミュティズンソングを獲得する」という出来事そのものが出演者の経歴になった。

2000年代の韓国音楽番組を見ていた世代にとって、「Take 7」は単なるコーナー名ではない。日曜の終盤に候補曲が示され、最後に一曲が選ばれるという、番組の記憶そのものだった。

06 2012年、番組は一度「順位」を捨てた

長く続いた仕組みも、永遠ではなかった。

2012年7月、「人気歌謡」はTake 7とミュティズンソングを廃止した。制作側が示した理由は、似た形式の音楽ランキング番組が増える中で、順位競争よりも多様なK-POPのステージを見せることを重視するためだった。

これは、音楽番組が抱える根本的な問題を表している。

順位があれば、視聴者には分かりやすい。1位をめぐる物語が生まれ、ファンも参加しやすくなる。一方で、毎週同じ計算と候補争いが中心になると、出演する楽曲や舞台そのものが順位の添え物になりかねない。

「人気歌謡」は一度、ランキング番組であることより、ショーケースであることを選んだ。

ところが、順位制のない期間は長く続かなかった。

2013年3月17日の第713回から、「人気歌謡チャート」が始まり、1位を決める仕組みが復活する。番組は、ステージを見せる場所でありながら、その週の勝者を記録する場所でもあるという二つの役割へ戻った。

この廃止と復活は、「人気歌謡」が単に古い制度を守ってきた番組ではなく、何を視聴者へ見せるべきかを何度も作り直してきた番組であることを示している。

07 500回、800回、1000回、1300回

1998年から再び積み上がった回数は、2008年に第500回、2015年に第800回、2019年4月28日に第1000回へ到達した。

そして2026年3月1日、番組は第1300回を迎えた。=LOVEが初出演する8月23日は、その約半年後となる第1321回である。

節目放送時期番組史上の意味
第1回1998年2月1日現在へ続くシリーズが再始動。1位はTurbo「回想」
第500回2008年1998年の再始動から10年を越えた時期
第800回2015年1月25日Turbo、SHINHWA、歴代MCなど番組史を振り返る特集
第1000回2019年4月28日4桁の放送回数へ到達
第1300回2026年3月1日2020年代にも続く日曜音楽番組として節目を更新
第1321回2026年8月23日=LOVEが初出演する回

1000回や1300回という数字は、単なる長寿記録ではない。

韓国の音楽番組は、アーティストの新曲発表時期、放送局の編成、大型スポーツ中継、社会状況などによって休止や特別編成が起きる。その中で、毎週の制作を積み重ね、数千組の舞台を放送し続けなければ、この数字には届かない。

一回の放送は約一時間前後でも、番組史全体では、韓国大衆音楽の変化を週単位で記録する巨大なアーカイブになっている。

08 テレビで一度流れる番組から、世界へ残る映像へ

1991年の「人気歌謡」は、放送時間にテレビの前へ座った人が見る番組だった。

2026年の「人気歌謡」は違う。

本放送に加えて、公式サイトやSBSKPOPのチャンネルには、ステージ単位の映像、グループ全体を追うフルカム、特定メンバーを追うフェイスカムなどが公開される。視聴者は番組全体を最初から最後まで見なくても、目的の一曲、目的のメンバーへ直接たどり着ける。

この変化によって、「出演する」の意味も変わった。

以前は、韓国で放送された数分間だった。現在は、その数分が公式映像として切り出され、日本を含む海外の検索、SNS、動画推薦の中へ流れていく可能性がある。

テレビの視聴率だけでは測れない第二の放送が、番組終了後から始まるのである。

人気歌謡の番組フォーマットの変化

09 =LOVEは番組史の新しい一行に立つ

=LOVEの「人気歌謡」出演を、ただちに本格的な韓国デビューと呼ぶ必要はない。

現時点で確認できる事実は、=LOVEが番組へ初出演し、「恋、はじめました。」を韓国語バージョンで披露するということだ。

しかし、番組の歴史を知ると、その一回の意味は少し違って見える。

=LOVEが立つのは、1991年にキム・ワンソンやイ・スンファンらが出演し、キム・ヒョンシクの曲が最初の1位を得た番組である。1998年にはTurboが再始動後の最初の1位を獲得し、その後、韓国のアイドル文化とともに1000回、1300回を越えてきた。

その長い系譜の第1321回に、日本の女性アイドルグループが、自分たちの楽曲を韓国語で持ち込む。

これは「人気歌謡」の歴史全体を変えるほどの大事件ではない。だが、長寿番組の歴史とは、こうした一回ごとの出演によってしか増えていかない。

韓国の視聴者にとっては、初めて=LOVEを見る数分になるかもしれない。日本のファンにとっては、長く見慣れたグループが、別の放送文化の中でどう映るかを確認する数分になる。

そして放送後に公式ステージ映像が残れば、その数分は番組表から消えた後も見られ続ける。

=LOVEの韓国出演を理解するために必要なのは、「K-POPに勝てるか」という短い比較だけではない。

彼女たちが、どれほど長い歴史を持つ舞台へ入り、その舞台がテレビ番組から国際的な映像アーカイブへどう変わってきたのかを見ることだ。

「人気歌謡」の歴史をたどると、=LOVEの一回の出演は、単発の海外ニュースではなく、1991年から続く韓国音楽テレビ史へ書き加えられる新しい一行として見えてくる。

「恋、はじめました。」の=LOVE公式アーティスト写真
https://www.youtube.com/watch?v=ikFaEAlO5N0

出演情報

  • 番組:SBS「인기가요(人気歌謡)」
  • 放送日:2026年8月23日(日)
  • 放送時間:12時20分〜(JST/KST)
  • 放送回:第1321回
  • 出演:=LOVE
  • 歌唱曲:「恋、はじめました。(Korean ver.)」